今回は、北朝鮮の怪しい動きについて取り上げます。
6月16日に、金与正(キムヨジョン)氏が南北共同連絡事務所を爆破を指示。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信が、連絡事務所の爆破は「人間のクズどもと、これを黙認した連中に罪の代償を払わせるべきだ」と報じて以来、ここしばらく、存在が忘れられるぐらい動きを見せない北朝鮮でしたが、8月29日に、対外用ラジオメディアである平壌(ピョンヤン)放送のユーチューブアカウントに、「0100011001-001」と題した、工作員への指令用と推定される乱数放送動画が上げられました。
これは、北朝鮮がユーチューブを通じて、世界中に送り込んだ朝鮮工作員へ何らかの指示を出しているものとみられています。
乱数放送とは、暗号放送とも呼ばれ、スパイが諜報活動で使用するものとされます。
ラジオ放送で、数字や文字をアナウンスし、あらかじめ用意された乱数表などに基づいてメッセージを読み解きます。
日本周辺では、北朝鮮が乱数放送を用いて、各国に潜伏するエージェントに向けた指令を送信していることが報道等によって広く知られています。
アメリカでは、ラジオの放送周波数帯での観測がされなくなり、現在の通信手段は人工衛星を使ったものに移行したとみられています。
今回、北朝鮮が発信した映像の中で、アナウンサーは「友人たち、719探査隊員たちに向けた遠隔教育大学情報技術基礎復習課題をお知らせします」とし、「564ページ23番、479ページ19番、694ページ20番・・・」など数字の組み合わせを朗読しました。
2016年7月15日、2017年4月14日の平壌放送では、「今から27号探査隊員のための遠隔教育大学(科目名)復習課題をお伝えします」とアナウンスしたのち、教材のページ数および設問番号という名目の、5~6桁で1組の数列を多くアナウンスした例が確認されています。
遠隔教育大学情報技術基礎復習課題、と大学名を付けるのが北朝鮮のお気に入りのようです。
今回の放送では、続けて「これまで710号探査隊員に向けた基礎復習課題をお知らせしました。
こちらは平壌です」として1分5秒の放送を終えています。
この動画は、ユーチューブの平壌放送のアカウントに公開され、同日午後2時現在で再生回数5700回を超えました。
北朝鮮がユーチューブを通じて乱数放送を送出したのは初めてとみられています。
北朝鮮は2000年の金大中(キム・デジュン)大統領と金正日(キム・ジョンイル)国防委員長による第1回南北首脳会談後に乱数放送を中断しましたが、2016年6月24日に再開しました。
これについて実際に南派工作員に向けた指令である可能性と、韓国社会の分裂を試みた北朝鮮の戦略にすぎないとみられています。
北朝鮮は通常、平壌放送を通じたラジオ放送で乱数放送をしてきました。
今年に入ってからも3月7日と13日に乱数放送が行われたのが確認されています。
しかし、今回の乱数放送はラジオでは放送されませんでした。
今回の動きにどのような意図があるのか、まだ明らかになっていませんが、北朝鮮は現在、独裁体制を放棄する過程に入っているとみられていて金正恩(キムジョンウン)氏が、経済や軍事などで「委任統治」を行っていると報じられています。
なかでも妹の金与正(キム・ヨジョン)氏が最も委任を受けているといいます。
これまでの動きとは違ってきたのが、6月の南北連絡事務所を爆破したあと、韓国に対する軍事挑発活動を保留。
その後、8月18日から米韓合同軍事演習が始まった事に対しても、北朝鮮は沈黙を続けています。
また、19日の党中央委員会総会でも、米韓に対する非難はありませんでした。
何か怪しいと思って韓国の動きを見てみると、韓国政府は8月6日、南北交流推進協議会を開き、今後3年間で約200億ウォン(約18億円)を投入するDMZ(南北軍事境界線の非武装地帯)平和統一文化空間造成事業を議決。
北朝鮮が6月16日、南北共同連絡事務所を爆破したことは記憶に新しく、「北朝鮮は南北共同連絡事務所を爆破したことについて、一回も謝罪していませんし、歩み寄りの姿勢も見せてきません。その中で今回の事業は意味不明です。」と韓国の国民から声が上がっています。
国際社会は一致団結して北朝鮮に対して圧力を強めている中で、韓国は北朝鮮への経済制裁決議を破り、融和政策を続けようとしています。
そして、極めつけが中国へ擦り寄り、日米韓の連携から外れようとしている動きを見せている事です。
22日韓国と中国の高官による会談で、習近平氏の訪韓を早期に実現させることで合意しています。
国際社会が中国排除へと動く中で、中国へ媚びる姿勢を世界へ見せたという事になります。
・・・韓国も着実に崩壊への道をたどっているようです。
そして、安倍総理の辞任会見直後というタイミングでの北朝鮮の動き・・・
我が国にも「背乗り」と呼ばれる手口を使い、数えきれないほどの朝鮮の工作員が紛れ込んでいるといわれています。
今回の暗号指令によって何をしようというのでしょうか?
引き続き注視しようと思います。