エリオット波動論は世界中の多くの投資家が知る相場分析法です。
ラルフ・ネルソン・エリオット(1871年~1947年)が編み出し、
1960年代になって投資家の注目を集めるようになりました。
その理論は、単なる相場の値動きだけでなく、1000年単位の歴史の周期まで視野に入れた壮大なものです。
エリオット波動理論とは、「相場にはサイクルがあり、値動きには一定のリズムがある」ということです。
エリオットは、過去のNYダウ平均を緻密に分析することで、
値動きのなかに「上昇→下降」の波が一定の規則性をもって何度も出現することを発見しました。
これが「上昇5波・下降3波」というエリオット波動の根幹をなす値動きの周期です。
つまり、上昇相場は「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」という5つの連続した波動から成り立ち、
その後には「下げ→上げ→下げ」という3つの波動による下降調整相場が続くというものです。
上昇5波のそれぞれの波は次のような特徴をもっています。
第1波は、じわじわとした動きで徐々に方向性が明らかに。
第2波は、第1波の大半を打ち消す反対方向のかなり強い動き。売買高が低下することで収束。
第3波は、通常はもっとも強く長い動きで、5波のうち最大値幅動くことが多い。
第4波は、乱高下が続く複雑な動きで高値持ち合いに近い。
第5波は、かなりのスピードと勢いをもったバブル的な急騰であることが多い。
また、上昇5波の絶対的な原則としては、
●第1波、3波、5波の上昇で第3波が一番短くなることはない。
●第1波の上昇を完全に打ち消すような第2波の下落はない。
●第4波の下落が第1波の波の頂点を下回ることはない。
といったものが挙げられます。
エリオット波動の「上昇5波・下降3波」と、フィボナッチ数列との関連性もよく指摘されます。
3、5やその和である8はフィボナッチ数列に登場する数です。
上昇5波は、さらに5波→3波→5波→3波→5波の計21波に細分化されますが、
21もまたフィボナッチ数列になります。
そのため、エリオット波動の分析には、フィボナッチ・リトレースメントを併用するのが一般的です。
フィボナッチについてはまた後日詳しく触れようと思います。
エリオット波動は、明確な売買シグナルを出してくれるわけではないので
一見わかりづらく感じるかもしれません。
しかし、これまでの値動きを「上昇5波・下降3波」という視点で捉えることで、
「相場は今、何番目の波の中にあるのか?」
売買プランを考えるうえで、参考になることは間違いないと思います。
しっかりとチャートで確認してみてください。