「正しいか、間違っているか」。
私たちは知らず知らずのうちに、一日の中で何度もこの判断を下しています。電車での小さなイライラ、SNSでの違和感、職場での「自分ならこうするのに」という思い。気づかないうちに、心の中にはジャッジの積み重ねが、小さな疲労として溜まっていきます。
かつて土御門氏は、IT業界の最前線で生きていました。0か1か、TrueかFalseか。論理が支配するその世界で、力でライバルをねじ伏せ、出世の階段を駆け上がっていました。「このままいけば、トップに立てる」。そう確信した矢先、過労で身体が動かなくなりました。
その挫折をきっかけに立ち返ったのが、幼少期から学んでいた古神道でした。30年以上の修行を経て見えてきたのは、「古いものこそ、新しい」という真理。古代の日本人が培ってきた知恵は、現代社会の閉塞感を打ち破る、驚くほど洗練された生き方のヒントだったのです。
たとえば「言葉の意味は、辞書ではなく受け取る側の感情が決めている」という視点。同じ「包み込む」という言葉でも、人によってその色合いはまったく違います。それは「すれ違い」ではなく、人間の心が持つ自然な豊かさなのです。
また、日本語の五十音には、一音一音に「言霊」としての意味が宿っているといいます。私たちは言葉を耳にした瞬間、頭で考えるより速く、音の響きから何層もの意味を感じ取っているのです。
そして、古神道が伝える最も大きな教えが、「白黒つけない」という生き方。「有るは無い、無いは有る」という矛盾を、矛盾のまま抱えること。それは弱さではなく、凄まじい体力と気力を必要とする、成熟した強さなのです。
判断を止めようとすると、心の中には「もがき」が生まれます。けれどそのもがきこそが、心の器を広げるための「魂のワークアウト」。白黒つけるのをやめた瞬間、今まで見えなかった相手の美点や、世界の深さが見えてくるのです。
あなたは世界を、正しく裁きたいですか? それとも、深く愛したいですか?
その問いの答えは、本編の中にあります。