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「社員は家族、国のために生きる」——大国イギリスに一人で立ち向かった男

1953年(昭和28年)、法廷で弁論が続けられているまさにその最中、東京湾に一隻のタンカーが帰ってきました。

その名は「日章丸」。470日ぶりの帰還です。

船腹に積んでいたのは、誰もが手を出せなかったイラン産の石油。大国イギリスが「買った者は許さない」と国際的な圧力をかける中、たった一人の日本人経営者が、会社の存亡を賭けて立ち向かったのです。

その男の名は、出光佐三

彼はこう言いました。

「これは日本国家としてやるべきもので、国民としての態度を失わないということが、私の最も苦心しているところなんです」

自分の利益のためではない。日本人として、正しいことをやる——ただそれだけの信念で、世界を動かした男です。

出光佐三が掲げた経営理念は「消費者本位」と「人間尊重主義」。社員を家族と呼び続け、故郷・宗像の神社を復興させ、世界遺産への道を開いた人物でもあります。

自分の事、利益の事だけしか考えない経営者が目につく現代において、出光佐三の生き方はまるで灯台のように輝いて見えます。

「社員は家族、国のために生きる」——大国イギリスに一人で立ち向かった男、出光佐三という生き方